第9戦 イギリスGP:決勝
F1選手権シリーズ第9戦、の英国グランプリは6日、雨のシルバーストーン・サーキット(1周5.141`=60周)で行われ、マクラーレン・メルセデスのルイス・ハミルトン(英国)が、1時間39分09秒440で優勝した。英国人としては1995年のジョニー・ハーバート以来の地元勝利。選手権争いでフェラーリのフェリッペ・マッサ(ブラジル)、キミ・ライッコネン(フィンランド)とともにトップに並んだ。2位にはニック・ハイドフェルド(ドイツ、BMWザウバー)、3位はホンダのルーベンス・バリチェロ(ブラジル)が入った。日本の中嶋一貴(ウィリアムズ・トヨタ)は惜しい8位だった。
ハミルトンは予選に失敗。2列目4番手からのスタートだったが、見事なダッシュで第1コーナーを過ぎるまでに予選上位のイッキ・コバライネン(フィンランド、マクラーレン・メルセデス)、マーク・ウェーバー(オーストラリア、レッドブル)、ライコネンを抜いてトップに立った。
フェラーリのライッコネンがスピンしたコバライネンを抜き、10周過ぎにはハミルトンに接近した。弱い雨が降り止んだ21周目に決定的な時がやってきた。ハミルトン、ライッコネンがともにピットイン。マクラーレンはハミルトンに雨用のインターミディエイト、フェラーリはライッコネンにドライを装着した。これが勝負の分かれ目になった。
2台がピットアウトして1周もしないうちに再び雨が降り始めた。ライッコネンはたちまちグリップを失って苦闘するが、ハミルトンは雨用のタイヤで快走。10周走った26周目には21秒8とリードを広げていた。ライッコネンは折角抜いたコバライネンにも前に出られて3番手に落ちた。
天候が予測しにくいなかで、マクラーレンは38周目にハミルトンをピットへ誘った。2度目の給油、そしてタイヤはさらに強くなった雨の中でインターミディエイトを装着した。
不振が続くホンダは“雨男”ルーベンス・バリチェロをピットへ呼び込み、これ以上はない、という雨専用のタイヤを装着して送り出した。ホンダの勝負手だった。コンディションは最悪で多くのドライバーがスピンを繰り返していたが、バリチェロは魔法使いのようにその間をくぐり抜け、順位を上げていった。ホンダのジェンソン・バトン(英国)もスピンした1人だった。ハミルトンは2位に上がっているハイドフェルドに1分近い差をつける独走状態となっていた。
「去年の富士を思い出すコンディションだった。富士よりは酷い雨ではなかったけど、バイザーの具合が悪く苦労した。特に右側は見にくく、1周ごとにバイザーを上げ拭く始末だ。雨が強くなると一層酷かった」とハミルトンは言っている。
バリチェロは43周目にハイドフェルドを抜いた。雨の激走。しかし、46周には給油ミスが判明してピットイン。折角の2位を棒に振る結果となった。
バリチェロは言う。
「前半に滑り、もう少しで壁にぶつかるところだった。だから雨用を使うことに決めた。5周する間に10秒遅かったらどうなる?そういうことが現実に起こったのだ」
自分が速かったとは言わず「相手が遅かったら」と表現するあたりにベテランの味がある。
4位を巡ってライッコネンとフェルナンド・アロンソ(スペイン、ルノー)は激しく競った。ライッコネンは2度のスピンをしたが、アロンソとのホイール・ツー・ホイールに競り勝った。アロンソはそのすぐ後、コバライネンに抜かれて5位に落ちた。
惜しかったのは中島一貴(ウィリアムズ・トヨタ)だった。トヨタのヤルノ・トゥルーリ(イタリア)との7位争い。抑え続けていたが最終ラップに抜かれてしまった。マッサは最悪のレース。スピンを5回もしては勝てようもない。完走扱いの最後13位でチェッカーを受けた。
筆者:中島 祥和 筆者HP