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Event
東京モーターショー 2009  特派員レポート:斉藤武浩
いきなり個人的な話で恐縮だが、筆者が初めて東京モーターショーの会場を訪れたのは1983年の第25回だった。当時はまだ晴海が会場だったが、トヨタがMR-2のプロトタイプとして発表したSV-3のことを鮮明に覚えている。
以来これまで、商用車の回も含めて東京モータショーには毎回足を運んだ。1989年の第28回からは幕張メッセに会場を移したが、メッセのこけら落としイベントともなった同年のショーは凄まじい熱気に包まれていた。
当時はバブル景気全盛、その功罪は別として日本列島そのものが熱気に包まれていたのも確かだが、完成したばかりの幕張メッセという会場そのものの話題性はもとより、世界に通じる高級セダンや高性能スポーツモデルが出展されたこともあり、会場は歩くのも大変なほどの混雑ぶりであった。

そして2009年、東京モータショーは大きな転換点を迎えている。
海外メーカーが軒並み出展を取りやめ、最終的には事実上の"日本メーカー(乗用車)ショー"という様相になった。前回に比べて出展メーカー/台数が激減、この規模縮小に比例するかのごとく、プレスディに入場した報道関係者も前回の半分ほど、一般公開初日の入場者数も前回比で2万人以上の減少となってしまった。

確かにショー会場は今までにないほど"こぢんまり"としており、正直なところ国際ショーらしい華やかさな賑わい、活気には乏しい。
しかし、特にハイブリッド分野など環境技術では日本のメーカーが世界をリードしていることもあり、各社の出展内容には興味深いものも多い。電気自動車やハイブリッドカー、燃料電池車などは、外見上の派手さこそ少ないものの、確実に進歩している技術がそこに息づいている。

派手なスポーツカーと踊りまわるコンパニオンという前時代的な"イベント色"はとても薄まってしまったが、この際だからこうした"ショー要素"はマーケットとして拡大市場であるアジアに任せてしまっても良いのかもしれない。
対して東京モーターショーは純粋な"産業展示会"というスタンスで、環境性能をはじめとしたエンジニアリングや、デザイン分野を世界に発信する場とするのも方策のひとつではないだろうか。もちろんこうすると一般入場者は激減するだろう。しかし、自動車業界全体としてはアジア地区を含めたビジネスの中核に位置づけることも可能かもしれない。

市場の縮小化に伴い、曲がり角に立った東京モーターショー。
ぜひ次回は自動車そのものや部品などに留まらず、近未来の交通インフラ構築など幅広い視点から自動車について情報を発信する場になってほしいと願う。

トヨタ自動車   東京モーターショー2009トップへ

FT-EV II
ハイブリッドカーの分野では世界をリードしているトヨタであるが、電気自動車についてもしっかりコンセプトモデルを出展した。

「FT-EV II」は全長2,730mm×全幅1,680mm×全高1,490mmというマイクロモデル。そう、あの「iQ」よりも255mmも短い全長の中で4人乗車を実現しているのだ。
このサイズで4人乗車を無理なく出来る空間を生み出すために採用されたのが、ドライブ・バイ・ワイヤ方式によるスティック・コントローラー。運転者は目の前のスティックでステアリングのみならず、アクセルやブレーキも操作することになる。代わりにアクセルやブレーキのペダルは姿を消し、このおかげで特に足元の空間効率を大幅に向上させることに結びつけた。

ドアは左右に1枚ずつが用意されているが、これは大型の電動スライド方式を採用。電気自動車でドアが電動ということから、消費電力と航続距離に与える影響が心配されるところであるが、それを抜きにすれば狭い駐車場での乗降や大きく広い開口部がもたらす使い勝手の良さは美点になるだろう。

肝心の走行性能は、最高時速が100km/h以上、満充電からの航続距離は90km以上とリリースに記されている。ちょっとした高速走行から、近所への買い物などの日常ユースまで、幅広く対応するだけのスペックを目指してるところはトヨタらしく抜かりない。

都市部ではカーシェアリングなど新しい自動車の使い方も普及を始めている中、そう遠くない将来にはこのようなEVマイクロ・コミューターの需要が大いに高まるかもしれない。
現時点で見る限り、トヨタの環境重視モデルはハイブリッドカーを軸として、今後都市部などを中心に需要を見込めるシティコミューターとして小型の電気自動車を投入してくるという戦略ではないかと思われる。

日産自動車   東京モーターショー2009トップへ

Qazana
日産が出展した「Qazana(カザーナ)」は、近年流行しているシティSUV系クロスオーバーモデルのデザインコンセプトモデル。
既に同社はムラーノやスカイライン・クロスオーバーをリリースして北米市場などで人気を博しているが、さらに先の世代を見据えたモデルとして興味深い展示である。

リリースによるとこのモデルは「ビーチバギーとモーターバイクのイメージに触発されたエクステリアや室内デザイン」とある。
クロスオーバーとは"何かと何かのいいとこ取り"で生まれるカテゴリーになるが、組み合わせ次第で如何様にもなるために位置づけが難しいところ。今のご時世に各車種の厳密な"位置づけ"が必要か否かの議論はあるだろうが、あえて整理してみよう。

例え同じSUV系であっても、ラグジュアリーセダンと"掛け合わせて"生まれたのが「ムラーノ」、スポーツセダンと"掛け合わせて"生まれたのが「スカイライン・クロスオーバー」といったイメージを筆者は持っているのだが、いかがだろうか。
この視点から言えば「Qazana(カザーナ)」は、両者とはまた異なるベクトルを目指したクロスオーバーモデルではないかと推測出来る。

ボディサイズは全長4,060mm×全幅1,780mm×全高1,570mmで4人乗り。全長では日産最小のクロスオーバーモデルである「デュアリス」よりも、さらに255mm短いコンパクトさである。
しかしコンセプトカーゆえの大径タイヤ装着を抜きにしても、量感のあるデザインは実際のボディサイズよりも二まわりは大きい印象と存在感を見せる。
個性的なアクの強いフロントフェイスはフランス風の香りも若干感じられるが、基本的にはムラーノに通じるテイストを持っている。

このモデルが今度どのように発展していくのか、何かしらの形で世に出ることになるのかは全く予想もつかないが、欧州メーカーも含めた"クロスオーバーモデル戦争"に対する日産の考え方の一端を垣間見れる一台のように思えた。

ホンダ   東京モーターショー2009トップへ

FCXクラリティ
市販が開始されている電気自動車に比べると、まだ普及には時間を要するであろう燃料電池自動車。
しかしながら環境性能はもとより、航続距離といった実用性でも優れているだけに、自動車メーカー各社は開発競争のしのぎを削りあっている。

ホンダの燃料電池自動車といえばFCXクラリティ。水素や水を縦方向に流す独自の「V Flow FCスタック」を採用して、システムを軽量・コンパクト化したことが大きな特徴である。

このFCXクラリティは昨年からアメリカと日本でリース方式の販売が開始されているが、東京モーターショーには従来のショーやイベントでお馴染みだった"ダークレッド"ではなく、"パールホワイト"にリ・ペイントされたモデルが出展された。

あくまでも既存モデルの全塗装仕様に過ぎないのであるが、ボディカラーがガラリと変えられたことで印象もまた従来から大きく異なるものとなった。

登場した当初はアクの強さも感じさせたルックスさえも、今やオデッセイなどが共通のイメージを持つ顔つきとされたために、かえって"ホンダらしさ"のアイデンティティを認識させるもの。

既に箱根駅伝のオフィシャルカーをつとめたり、東京都内のハイヤー会社が本田技研専用車としての運用を開始しているなど、本格的な実用化に向けて着実に進化を続けている。

また、個人的にはこのスタイリングテイストが、今後同社のフラッグシップセダンなどにも展開されるのかも気になるところである。

ダイハツ   東京モーターショー2009トップへ

Deca Deca
軽自動車市場をスズキとともにリードしているダイハツ。2007年には創立100周年を迎え、ますますこれからの躍進が期待されるところである。

そんなダイハツは2006年度の軽自動車登録台数で1位を獲得するなど好調さを見せているが、ひとつの原動力となっているのが2003年に発売されたタント。前回・2007年の東京モーターショーでは二代目モデルがお披露目され、初代にも増して高い人気を集めている。
このタント、いわゆるハイトワゴン系の乗用モデルであるが、極限まで空間効率を追求したコンセプトが広く受け入れられた。二代目では左側に軽自動車初となるセンターピラーレスの「ミラクルオープンドア」を採用、子供が小さい"子育てママ"や高齢者などがいる家族に乗降性の高さなどが支持されている。

このようにタントで空間効率を追求しているダイハツが、今回の東京モーターショーに出展したコンセプトモデルが「Deca Deca(デカデカ)」。その名もズバリ、"デカイ室内"が売りのモデルある。

外見は短いノーズ部に柔らかな曲面があるものの、基本的には空間効率最優先のスクエアボックス。
右側は運転席のスイングドアのみ、対する左側はタント同様のセンターピラー2ドアだが、「Deca Deca」ではスライドドアを用いずに観音開きのスイングドアが採用された。

室内は低床フラットフロアで、運転席のほかには自在にアレンジできる薄型の格納式シートを備える。基本的なコンセプトはコマーシャル・ビークルとなるため、インパネも1人乗車を基本前提としているようなデザインだが、一般的な軽自動車と同様に最大で4人が乗車出来る。

この車のハイライトは運転席後ろの部分で、ドアが設けられていない右リア壁面にはなんと35インチの液晶モニターが用意されている。
ここにはノートパソコンなどを置ける収納式デスクも備わるので、出先で停めた車内での仕事で重宝しそうである。さらに椅子のレイアウトによっては簡単な商談スペースにも早変わり、モニター画面を使った即席のプレゼンテーション会場にもなるという優れモノ。

今や高速道路のサービスエリアなどでも無線LANが普及しているし、携帯電話でのインターネット通信も有線のブロードバンドに匹敵する快適さという時代。こうした"便利な移動オフィス"の需要は高まっていきそうである。

スバル   東京モーターショー2009トップへ

Plug-in STELLA feat.BEAMS
富士重工業がこの夏から販売を開始している電気自動車が「プラグ・イン・ステラ」。
同社の軽自動車「ステラ」をベースに、リチウムイオン電池や最高出力47kWのモーターを搭載する、EVシティコミューターである。

東京モーターショーでは、セレクトショップ「BEAMS」とのコラボレーションモデルが参考出品された。
主に20代から支持を集めている「BEAMS」はカジュアル系のテイストを得意としているが、スバルとのコラボレートはこれが初めてではない。現行型インプレッサがデビューしておよそ半年を経た2007年の11月に「インプレッサ BEAMS EDITION」をリリースしている。「BEAMS」のブランドカラーであるオレンジ色のエクステリアをまとい、内装にも専用の本革シートを奢るなどしたモデルの存在は、まだ記憶に新しいところだ。

この時のコラボレートに比べると、今回の「プラグ・イン・ステラ」はかなり大人しい見た目になる。
エンジンフードにこそ「BEAMS」のロゴマークが大きく入れられているものの、さすがにオレンジ色のボディカラーは採用が見送られている。
とは言っても、環境性能面ばかりに注目が集まりがちな電気自動車に、こうした遊び心を加えたコラボレーションモデルの登場は、これから電気自動車が普及するにつれてユーザーニーズが多様化していくこと対する備えではないかとも読み取れる。

なお同じ電気自動車とは言っても、「プラグ・イン・ステラ」はごく短距離のコミューター機能に特化した性格の持ち主。航続距離は90kmと発表されており、同時期に発売開始となった「i-MiEV」の160kmよりもかなり短い。
また、気になる点として今後の富士重工業の電気自動車開発・販売が、何をベースに行なわれていくかということもある。既にトヨタ自動車との提携によって軽自動車の自社開発を中止すると発表しているため、現行の軽自動車ラインナップには次世代モデルが無いと思われるからである。
一気に軽自動車枠を超えて普通車で実用性のある電気自動車開発を目指すことに注力していくのか、今後の展開が気になるところだ。

マツダ   東京モーターショー2009トップへ

SKY-D
マツダ・ブースで一際目を惹いたのが、鮮やかなブルーにヘッドカバーをペイントされたエンジン。
今回の出展コンセプトを「マツダ・スカイコンセプト〜すべてのお客様に『走る歓び』と『環境安全性能』を提供!〜」と掲げている同社にとって、ある意味コンセプトー以上に注目すべき展示が、「SKY-D」と「SKY-G」と名付けられたエンジンである。

ここでご紹介するのはディーゼルエンジンの「SKY-D」。
日本ではまだまだディーゼル復権は険しい道のりであるが、ご承知のようにヨーロッパでは小型乗用車からLクラスのセダンまでディーゼルが圧倒的に主流。その理由として熱効率の高さが挙げられ、ガソリンエンジンに勝ることから環境性能で優れているという視点がある。

しかし一方では窒素酸化物や黒煙を排出することが短所として問題視されており、これをクリアするために各社はクリーン・ディーゼルの開発に力を注いできた。このため今となっては黒煙を撒き散らして走るようなディーゼルエンジンは見られなくなってきている。

今回出展された「SKY-D」はクリーン・ディーゼルとしての環境性能を一層高めるとともに、低燃費・高出力化を押し進めた次世代のディーゼル・エンジン。
直噴ピエゾインジェクター、2ステージターボチャージャーなどを採用した全くの新設計で、燃費は現行の2200ccエンジン比で実に20%も向上しているという。しかもただでさえ生産コストの高いディーゼル・エンジン、これがクリーン・ディーゼルとなるとさらにコストアップを強いられるところなのだが、「SKY-D」は従来型のディーゼル・エンジンと同程度のコストに抑えられているという。

参考までに他メーカーの車種であるが、ガソリンエンジン車とクリーン・ディーゼル車では、およそ40〜50万円ほどの価格差がある。もちろん装備の違いなども考慮する必要があるので一概には言えないものの、やはりこの価格差はユーザーとしては無視できないだろう。
まだ日本でも多くの乗用車にディーゼルエンジンが設定されていた20年ほど前の資料で見ると、当時のガソリン車とディーゼル車の価格差は10〜15万円といったところ。この程度の差であれば距離を走る人にとっては燃料代で充分に差額を埋められる計算が成り立つことになる。

こうしたユーザーメリットの面から言っても、ローコストなクリーン・ディーゼルの登場には期待が高まるところだ。

スズキ   東京モーターショー2009トップへ

新型アルト コンセプト
販売台数の低迷が叫ばれた日本の自動車市場で、存在感を高めているのが軽自動車。
法規制によって日本固有のサイズを維持しているこのカテゴリーは、登録車が次々と海外市場を見据えて大型化していくことに対するユーザーの思いを写す鏡であるかのように、活発な動きを見せ続けている。

既に軽自動車市場も、登録車市場と同様に背の高い車種が一般ユーザーにとっては主流となってきているが、一方で昔ながらのセダン系車種も根強い支持を集めている。

その理由としてはまず経済性が挙げられるだろう。そして歴史を紐解いていくと、現在に通じる軽自動車の普及に大きな役割を担ったのがスズキ・アルトである。

今回の東京モーターショーに出品された「新型アルト コンセプト」は、年内にも登場するであろう7代目のモデルになる。
実は2008年のパリ・モーターショーで「新型アルト」は発表されており、既にインドや欧州では販売が開始されている。もっともこれらの地域では日本とは異なり、1,000cc級のエンジンが搭載されているが、日本の軽自動車枠をベースとしたコンパクトなボディサイズと煮詰められた使い勝手の良さが好評を得ているとのことだ。
つまり、今回の出展は日本仕様がようやくお披露目された、という言い方も出来る。

個性的な顔つきがまずは目につくが、これは海外市場向けと共通のもの。スタイリングは質感の面で少々劣っているように感じられた現行モデルに対して、同じ軽自動車枠のなかで量感のあるデザインを実現しており、このタイプの軽自動車にありがちな"安っぽさ"はほとんど感じられない。
もちろん顔つきこそ好き嫌いが若干出そうな雰囲気もあるが、ユーザー層が幅広い車種ゆえに普遍性と個性を巧くバランスさせているという印象だ。

メカニズム面では、待望のCVTがトランスミッションにラインナップされた。コスト面で軽自動車への採用は難しい部分もあるCVTだが、燃費への寄与効果が高いことからユーザーへのメリットも大きい。

なおモーターショーの会場では、初代アルトが一緒に展示されている。
「アルト47万円」というキャッチコピーが鮮烈だった1979年生まれの初代モデル、まさに近代スズキの原点とも言えるモデルだけに両者に流れる共通のDNAも感じさせる心憎い演出だ。

三菱自動車   東京モーターショー2009トップへ

i-MiEV CARGO
2006年の1月に登場した三菱i(アイ)。
エンジンをリアミッドシップにレイアウト、タイヤをボディの限りなく四隅に置いた未来的なワンモーションフォルムと良好な使い勝手を高次元でバランスさせた、三菱渾身の作品である。

ターボエンジンからデビュー、後にノンターボエンジン版を追加、そして近年は「i(アイ)」をベースに作られた電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」が大きな話題を呼んでいる。

既に「i-MiEV」はこの夏から官公庁や自治体向けの納入が開始されており、一部の地域ではタクシーとして使われるなど普及が進んでいる。さらに来年4月からは本格的に個人向けの販売がスタート、補助金を受けても300万円を超える価格になるが多くの予約注文が入っていると伝えられている。

これからも話題を振りまいてくれそうな「i-MiEV」だが、東京モーターショーには一層魅力的なバリエーションモデルが参考出品された。それがリアのカーゴスペースを拡大した「i-MiEV CARGO(アイ・ミーブ カーゴ)」である。

一般ユーザーの中に決して少なくないであろう法人や自営業者をターゲットとしたこのモデルは、フランス車が得意とするフルゴネットスタイルを採用。「i-MiEV」のメカニズムはそのままに、5ドアハッチバックのボディを3ドアハッチバックに変更した上で、ハイルーフのスクエアなリアセクションとしてカーゴスペースの容量を大幅に拡大している。

この拡大されたカーゴスペースにより、例えばフラワーショップやクリーニング店、アパレル関係などの業種では、業務用途としての利便性が格段に向上するだろう。さらに可能性としては、車椅子用の乗降装置を設けることで、福祉関係での活用も考えられる。

また、純粋な個人ユーザーにとっても、この広い空間はレジャーやホビーなどのシーンにおいて、ユーザーのアイディア次第で無限に活用することができそうだ。
三菱ではミニカトッポなどで実績のあるフルゴネットスタイルの軽自動車、再び人気を集めそうなモデルであると断言しても良いだろう。

ちなみに展示車のスペックは、全長3,395mm×全幅1,475mmという縦横の寸法は「i(アイ)」と全く同じ。ただしご覧の通り、全高は「i(アイ)」に対してプラス260mmの1,860mmとなっている。もちろんこれでも、軽自動車枠にはおさまっている。

デザイン的にも"付け足し感"は無く、非常に良いまとまりを見せている「i-MiEV CARGO」。リアハッチゲートは既存車種のパーツを流用しているが、そんなことは全く感じさせない出来ばえが人気を集めそうな一台。
実際、ショー会場では「電気自動車も良いが、ガソリンエンジン仕様も発売してほしい」という声が多く寄せられているというから、ショーでの反応次第ではガソリンエンジン仕様を含めてメーカーもリリースを前向きに考えてくれることになるだろう。

アルピナ   東京モーターショー2009トップへ

D3 Bi-Turbo Touring
海外メーカーが次々と出展を取りやめた今回の東京モーターショーだが、ドイツのアルピナは従来と変わらない体制でブースを設けてくれた。
BMWのチューナーとして名を馳せ、モータースポーツ活動で幾多の栄冠を手にしてきたアルピナは、1983年に公式に"自動車メーカー"として認められた。ボディに走るラインストライプは
日本でも常に羨望の的であり、二昔ほど前にはスタンダードなBMWにオーナーがラインだけを入れた「なんちゃってアルピナ」も多く見かけられたものである。

今回のブースにはワールドプレミアとなった「B7 Bi-Turbo Limousine Long」や、FIA-GT3仕様の「B6 GT3 レーシングカー」などが展示されたが、ここでは「D3 Bi-Turbo Touring」をご紹介したい。

このモデルは既に一般市販されているものだが、ダイナミック・パフォーマンスの面でも高い評価を得ているBMW 3シリーズ・ツーリング(ステーションワゴン)をベースに、アルピナが持てる技術とノウハウを注ぎ込んで作り上げたモデル。
それは20インチのアルミホイールでルックスも抜群の足回り、上質なスポーティさに高級なウッドトリムとDakotaレザー・インテリア(ともにメーカーオプション)で磨きをかけたインテリアなど、随所に見て取ることが出来る。

さらに現在のヨーロッパにおけるクルマ事情を反映して、このモデルはディーゼルエンジンが搭載されている。
排気量1995ccの直列4気筒というスペックだけを見ると少々の物足りなさを感じる方もいらっしゃるかもしれないが、さにあらず。これをアルピナではツインターボチャージャーで武装、最高出力ではベースエンジンの130kWに対して157kWへとパワーアップを果たしている。同様に最大トルクもベースが350Nmであるのに対して、実に450Nmにまでスペックを高めているのだ。

組み合わされるミッションは2ペダル・6速オートマチックの"スゥイッチ・トロニック"。ステーションワゴンボディのツーリングというキャラクターを反映して、カリカリにドライビング性能を極めるのではなく、あくまでも日常の使い勝手などを犠牲にすることなく、よりドライビングプレジャーを高めるというコンセプトで仕立てられている。

ちなみに価格は税込みで806万9千円。日本におけるBMW3シリーズ・ツーリングのトップレンジに位置する335iツーリングが693万円という値札をつけていることと比べても、絶対的な価格は別にして"お買い得感"を覚えるのは筆者だけではないだろう。

なお「D3 Bi-Turbo」には4ドアサルーンボディも用意されているが、こちらには6速マニュアルトランスミッションの用意もされている。
もっとも手作りに近いアルピナゆえに日本への導入台数も限られており、既にそのほとんどはガレージに納めることが出来る幸せなオーナーが決まっているようである。




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