既に乗用車の21倍の運度エネルギーが疾走。
さて、前回私が、「運動エネルギー」の話しを持ち出したのは以下の理由だ。
日本の高速道路では大抵大型トラックと乗用車の差別はなく同じ制限速度がされている。 場所により、まちまちだが、70km/hから100q/h程度だ。と、言うことは大型トラックのこの最高速度の運動エネルギーを認めている。とすれば、乗用車もその運動エネルギーなら認められている訳だ。多分に屁理屈的ではあるがでも、物理的現状はその通りである。
大型トラック換算であれぱ、およそ300km/hでもまだゆとりがあることになる。勿論、300km/hの速度は秒速80m強なので、ドライバーの操作能力から言えばほぼ限界近いし、制動能力から言っても現実的ではない。もっともアウトバーンは乗用車は260km/h程度まではドイツのメーカーも容認しているが。何を言いたいかと言うと、日本高速道路は乗用車では300km/h程度の運動エネルギーを既に許容しているのだ。現実には東名高速道路などではトラックは130km/h程度で巡航している。100q/hの2トンの乗用車の何と21倍!もの運動エネルギーだ。これから言うと現実に200km/hで走行する乗用車の運動エネルギーは100q/hの乗用車の僅か4倍しかないのだから、ちょろいもんだ。
80km/h走行で全てに抜かれた。
以前、東名高速道路で私の車のフロントタイヤがバーストした。御殿場のサービスエリアでテンパータイヤと交換。が、どうもあの細いテンパータイヤで100q/hで走り、東京まで約80km近くを走るのは不安があったので、クルーズコントロールを80km/hにセットして左端の走行車線を走り帰ることとした。実は東名高速道路も一部80km/h区間がある。がだ、背後から来るトラック、乗用車の全てが私を”じゃまだ、もっと速く!”とばかりに急っつく。普通ならアクセルを自分でコントロールしていると自然にスピードを上げてしまうところだが、生憎、クルーズコントロールのために、それが出来ない。正確に80km/hで走るので、背後の車は諦め追い越して行く。東京に帰るまで、全ての車に追い越された。
人間工学的な速度制限
ここで言いたいのはここで決められている制限速度は有名無実、全く誰も守らない、と、言うか守るには苦しい制限速度なのだ。つまり、利用者の賛同を得ていないものなのだ。 ここでドイツの制限速度を振り返りたい。アウトバーンは基本的に乗用車は速度無制限。(トラックは80km/hであるが)だが、一般道路に降りると厳然と厳しい速度制限がされている。しかし、その速度は実に合理的なものだ。とある郊外の道路で、ふと、スピード標識を見落としてしまった。スピード違反するのが嫌だが、何キロで走ったらいいのか判らない。さて、仕方がない。「自分の運転でイライラもしない程度の速度。しかも不安を感じない速さ」で走ることにした。たまたまその時の道路状態から70km/h程度だったので、その速度で走った。 誠に快適な速度だ。遅すぎず、と言って速すぎない。と、制限速度標識が見えてきた。何と其処には70km/h!と表示されていたのだ。彼らは丁度人間がいらいらせず、しかも危険を感じない速度をそのまま制限速度にあてはめているのだ。何度もこの経験をした。ある時は小雨の田舎道だ。勿論片側1車線の対向車線。私は仲間から少し遅れ気味だった。その前、町で昼食をゆっくり取りすぎていたので少々急いでいた。がワインディングで尚、濡れた路面ではそんなにスピードを上げる気がしなかった。見知らぬ外国で事故でも起したら大変だ。慎重ながらそれでできるだけ急いだが、でも60km/hで走るのがやっとだ。それ以上の速度は路面のミュー(摩擦係数)が気になるので出せない。小雨の中に速度制限標識が見えた。そこには70km/hの表示がされていたではないか!なるほどドライ路面ならその速度でも走れるものだ。
郊外だが、やはり対向の片側2車線の道路がある。何と制限速度は120km/hとある。が、コーナーに来ると100q/hになり、場所により80km/hの制限がされている。
つまり、その制限速度通りに走れば事故なく走れるのだ。
0.4Gのコーナリング
ドイツではコーナリングスピードは0.4Gに設定されているのだと聞いたことがある。調べて検証はしていないのだが、あるメーカーのテストドライバーのエキスパートの人から聞いた話しだ。
N1レーシングマシンのコーナリングスピードが約0.9G前後だ。ワインディングでタイヤを鳴らし、キーッと走っているのが、恐らく0.7G前後だろう。0.4Gはタイヤは鳴かないが、ある程度身体が横に押さえつけられる程度のコーナリングに相当する。 これは合理的な決め方ではないか。車にコーナリング中の破綻はない。が、遅くもない安全かつ速い速度の設定だ。
ここで判るようにドイツの制限速度は非常に”合理的”発想で決められている。高速コーナーであれ、低速コーナーであれ、一律、0.4Gでコーナリングすれば車の安全性は確実に確保できる。しかも、人間工学的にドライバーがいらいらしない。したがって、その規則を守れる。つまり、実勢に応じた速度制限がされているのだ。ここが日本と大きく違う。 以前にも書いたが、アウトバーンからのランプウェイが”70km/h”の制限がされていた。これ以上速いとコースアウトの危険がある。確実にリミットを表示しているのだ。だから、ドライバーはそのリミットを越さないようにキチンと正しく守る。が、日本はどうだ。同じコーナーだったら”40km/h”に制限されている。と、ドライバーは少しも危険を感じない。すると、その制限速度は守るに値しないものとなり、それを上まわった走りをするようになる。上まわっても危険ではないからだ。”制限速度を守らなくても危険はない!”と、言った誤った”常識”が一般化しているし、そうなるとすこぶる危険だ。リミットの表示がないから、未体験の初めてのコーナーやランプウェイでどの程度の速度なら安全なのかわからないからだ。なにしろコーナーの深さやRが判っていないから。
ドイツではリミットを表示だから安全
ここが大きく違う。ドイツの場合は、”リミットを表示”しているのだから、初めての未知のコーナーでも、そのリミットさえ守れば危険はない。つまり、その速度標識はリミットで”嘘を付かない”からだ。日本の場合の標識は”嘘だらけ”なので誰も信用せず、それが結局危険を呼んでいる。(続く)
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