B)エンジン特性を知ろう
エンジンの性質を知ることで正しい省燃費ドライビングに役立てよう。
データは三菱自動車が誇る省燃費型の直噴エンジンであるギャランGDIのものだ。
1)低回転でも、高回転でも効率は低い。
GARANT GDI 全域燃費性能のグラフを見て欲しい。空気と燃料の比率が小さい、”理論空燃費”の時の性能を表わす。
一番上の線はフルスロットルの時に発生するトルクカーブだ。上から2番以降のグラフは同じ燃費の時に出せるトルクをカーブだ。地図上の等高線みたいなものだ。例えば上から2番めの線の場合、1000rpmの時は12kgm強だが、3000rpmでは14.4kgmと同じ燃費でトルクは高まる。このあたりの熱効率が最も高い。
が、それ以上回転を高めるとトルク逆に低くなる。6000rpmも回すと12kgm弱にまでトルクは下がっている。エンジン回転が高まり、ピストンのスピードが速くなると、シリンダーとの摺動部の抵抗や、ピストンが上下し、吸入、排気するポンピングロス(ビストンがポンプの役目をしていて抵抗になる)やバルブ、その他ウォーターポンプやゼネレーター等の抵抗が急速に増えて足を引くからだ。
一方、低い回転ではピストンスピード(ビストンが上昇する速度)が遅く、シリンダー内の空気の流れも遅い。パワーを出すときと同じタイミングで点火すると、本来ピストンが最も上がってくる”上死点”直後に一挙に爆発させたいのに、それ以前の、まだピストンが上昇中に勝手にあちこちで小さな爆発が起き出して”ノッキング”が起きてしまう。”チリ、チリ、チリ”とエンジンからの音を聞いたことがあるだろうが、この音が出ている時はこの異状燃焼(デトネーション)が起きているときだ。
このデトネーションを出さないために点火タイミングを遅らせるので、低回転域では、爆発はピストンが下がってから起る。すると、充分な爆発圧にはならないので、トルクも下がる訳だ。低回転では熱効率、燃費が悪いのはこのような理由とポンピングロスによるものだ。それでも、GDIなどの直噴エンジンは低回転域では、数回に分けて燃料を噴射して、低回転でのノッキングを防ぎ、ポンピングロスを小さくし、出力のダウンを少なくしているのだ。
ブルーのカーブは走行抵抗を表わしたもの。100q/hの5速での走行では、2800rpm程度で、その時の走行抵抗と釣り合ったパワーで走れるのだ。平たん路で100q/hの時は下から3番目の燃費カーブより上に位置する。つまり3番め以上、4番目のカープ以下の燃費ゾーンで走ることになる。速度が高まると段々燃費の悪いゾーンで走るのがよく判る。
2)正味熱効率マップ
目玉の中でドライビング
図をは、1)の項のマップと意味あいと同じだ。2000rpmと12kgmの交点を中心に、薄い黄緑の楕円がある。このあたりは最も熱効率、つまり燃費の 最もよい場所だ。エンジニア達はここを”目玉”と呼んでいる。その周辺は段々緑の円周が広がっている。緑の濃さにより、”熱効率”が低下していることを表わす。
”加速や登坂”する場合の省燃費運転は、このもっとも熱効率のよい”目玉”を中心にドライビングすることだ。
2)省燃費ドライビングのコツ
サンプルのGDIエンジンのモデルで考るが、基本的には大体他のエンジンでもこれに近いものと考えられる。
a)”加速や登坂”する場合、
エンジン回転は大凡1200rpmから、3000rpm程度の間を使用すること。もっとも登坂の場合などそれ以上パワーが必要になると、これを越えるのは仕方がないが・・・。
b)”加速や登坂”する場合、a)の回転数で、かつスロットル(アクセル)開度は大凡、60%から80%で走しるのがベスト。だが仮に90%になってもまあ、構わないことがわかる。
c)スロットルの動かし方は丁寧な方がよい。ガバッとすばやく開くとリッチ(濃い)な空燃比に一瞬なるので、燃費は悪くなる。
以上が一般的なエンジンの上手な省燃費運転の使い方だ。
ただし、このように、”加速や登坂”には”目玉”エリアを使えるが、一定速度の走行では必要な出力が小さいため”目玉”の下の領域を使うこととなる。
図のように、100q/hのクルージングでは、およそ”4.6〜8kgm”程度のトルクゾーンで走るので、熱効率の悪いところを使う訳だ。が、効率は悪いものの、スロットル(アクセル)開度は低いので、使用燃料はもともと少なく、これも省燃費運転でもある。
d)一定速度
一定速度でクルージングする場合は、。AT、MTにかかわらずトップギヤで走る。また、その回転は出来るだけ低い回転(ノッキングしない程度)方が有利だ。
スポーティーな高速ドライビングも楽しいが、省燃費ドライビングもテクニックが必要でまた結構楽しい。
3)省燃費の道路コンディション
a)何故、渋滞は燃費が悪いのか?
大抵渋滞の時は速度は低い。つまり空気抵抗は少ないし、また転がり抵抗も小さいにもかかわらずにだ。何故悪いのか?
それは速度と距離の関係の図を見て欲しい。ブルーのラインは、A点をスタートしてから、B点に到着するまで一定速度で走り続けた。A点からスタートした後加速するのは一度だけ。そし てその後は一定速度だ。加速に使用したエネルギーは最後にブレーキングして熱エネルギーに変換して大気に放熱した。(一定速度維持のエネルギーは走行抵抗に釣り合うだけアクセルを踏んで与えている。これはブルーラインも赤のラインも同一とする)
一方、赤のラインでは、加速して一定速度になるが、渋滞で速度を落し、再度加速して速度を高める。これを3回繰り返し、ブルーラインより2回も加速回数が大きい。つまり2回も余分にエネルギーを使い、2回共ブレーキングなどで放熱して捨て、無駄に使ったことになる。
これで判るように、加速、減速を繰り返し、速度が上下する度に余分なエネルギー(ガソリン等)を使い燃費を悪くしている。
(自分で、燃費のデータをとる場合、このスピードの上下などのコンディションが同一条件でないと比較にならない。また、気性条件、積載量、タイヤ空気圧なども同一にしたい。一般道路での燃費テストはなかなか同一条件にならないので、難しいところだ。やはり、長期のテストを行い平均値を出すしかない。)
b)コーナーの多い道路
平たん路で同じ距離でもコーナーの多い道路と真直ぐな道路でも異なる。コーナリングは走行抵抗が増すので、コーナーの多い道路の方が燃費は当然悪くなる。
4)軽い車が燃費がいい?
”YES”だ。加速、減速を繰り返す時、加速抵抗が小さいし、タイヤの転がり抵抗も小さいからだ。ただし、軽いけど空気抵抗が大きい場合はまた別の話しとなる。
5)省燃費エンジンの上手な運転方法
今回のモデルになった三菱自動車のGDIエンジンを筆頭に各社から省燃費エンジンが出て来た。ただし、どのエンジンも必要な時には必要なパワーを出すために省燃費運転モードとパワー運転モードを分けている。
ガソリンエンジンがパワーを出すためにガソリンをシリンダーに入れ、それに見合う酸素が必要だ。その酸素とガソリンの比率で燃焼する最少の比率を”理論空燃比”(ストイキ)と言い14.5〜15:1(重量比で空気:燃料)あたりとされている。最もパワーが高くなる燃焼はもっと燃料が多く、12〜 14:1程度とされている。これらの比率では燃費が悪い。そこで登場したのがシリンダーにGDIのように直接燃料を吹き込む直接噴射方式のインジェクション、直噴エンジンなどだ。
省燃費運転モード(黄緑)
直噴エンジンと言えども、そのままシリンダーに、燃料を吹き込んだのでは上手くプラグの近くにまとめて濃い混合気が行かない。そこで、ピストンヘッドの形状を工夫したりインテークマニフォールドの形状の工夫や、2個あるインテークバルブを片側だけ開きシリンダー内の空気の流れを渦巻状(スワール)にしたり、下から上に吹き上げ(タンブル)回転する流れを造たりして点火プラグに全体の量は少いが濃いガソリン集中するようにするのがミソだ。
濃い燃料の層と薄い層とが重なって流れるので”層状混合”などと呼んでいる。この時の空燃比は30〜40:1と理論空燃比の半分以下と非常に薄いのだ。 パワー運転モード(緑)
ただし、この薄い燃料では絶対的なパワーは出ないので、ドライバーの要求(スロットル開度)によっては理論空燃比(モデルでは13〜24:1)に切り替えてパワーを出す。GDIの運転モードマップを参照して欲しい。 ここで黄緑のゾーンが低燃費モードゾーン、パワー運転モードゾーンは濃い緑の箇所である。GDIはエンジンの熱効率が低下する”目玉”の下の領域、すなわち一定速度に近い走行で使うゾーンで燃費改善効果が普通のエンジンより大きいのが特徴だ。 GDIの上手な省燃費運転の仕方
上のグラフで判るように、平たん路では、GDIエンジンの場合、130q/h以上では、緑の”高出力ゾーン”で走ることとなる。せめて高速では、130q/h止まりにして走る方が黄緑の”低燃費ゾーン”で走れ、省燃費運転に寄与できる。また、エンジン回転は引っ張っても6000rpm弱だ。まあ、4000rpm以下で、あまり負荷をかけない(アクセルを踏まない)
ブルーの走行抵抗曲線は40q/h以上になると立ち上がり角が強くなり、燃費がこのあたりからグングンと悪くなるのが判る。
やはり、速度は遅いほど燃費はいい。以上、スロットルコントロールとエンジン回転に気を付けてこの黄緑ののゾーンで省燃費運転を楽しんで貰いたい。 最後に、貴重なデータとノウハウをご提供頂いた三菱自動車株式会社さんに感謝致します。
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