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アウトライン開発者よりデザインメカニズム試乗記購入ガイド写真集

ラクティス(RACTIS)  戻る

<メカニズム解説>













ラゲッジスペース





パノラマルーフ




VVT-iエンジン




CVT




ステアリング
(パドルシフト)




16インチホイール




 
熊野 学
熊野 学


●パッケージジング
 ラクティスは、現行ヴィッツのプラットフォームをベースに開発されたスペース系コンパクトカーだ。現行ヴィッツに対して、ホイールベースを90mm、全長を205mm延長し、全高を120mm高くしたボディを持つ。これと垂直に近いサイドウインドウにより、ファンカーゴと同等以上の室内スペースを確保した。
 高い全高でワンモーションフォルムのスタイリングとするため、フロントウインドウ下端はヴィッツより、前方に50mm移動し、上方に50mm高くした。これと共に、前席の座面も高くなり、後席の乗員は足首を余裕を持って前席の下に入れられる。さらに、トンネルの無いフラットな後席床面は横方向にも広い足元スペースを提供する。

●シートアレンジ
 ホイールベースの延長とフラットな後席床面は、多彩で容易なシートアレンジを可能にした。シートアレンジは、通常モード(5名乗車)とセンターテーブルモード(4名乗車)とハーフラゲージモード(3名乗車)とラゲージモード(2名乗車)とカウチソファモードの5モードであるが、後席中央は座面が薄いので通常モードは短時間モードである。
 6対4分割のリアシートは、ワンタッチでシートバックを折り畳んでリアの床面にダイブインすることができ、シートバックの背面は荷室と連続した床面となる。この場合、前席後方が987Lの巨大なラッゲージスペースとなる。これを可能にしたのが、後席下のフロア形状の工夫だ。後席下のフロアの立ち上り部を後退させ、その前方にリアシートをダイブインするスペースを設けた。

●ボディ
 アンダーボディはヴィッツとほぼ共通するが、大型化したボディサイズに合わせて各部を強化している。フロントまわりでは、サスペンションメンバーとの結合部が強化され、増加した車両重量に対応した。フロアまわりでは、センタートンネル後端部の左右を橋渡しするブレースが追加され、フロア剛性を高めた。リアまわりでは、リア開口部の周囲を閉断面のフープで取り囲む共に、リアサスペンションのダンパー取り付け部とフープを接続し、リアサスペンションからの垂直入力を剛性の高いフープに伝える。
 現行ヴィッツで採用されたボルト締めのクラッシュボックスは、ラクティスでも踏襲された。これは軽衝突時に衝撃を吸収し、その後方のサイドメンバーのダメージを防止することで、修理費用を低減する。

●パノラマルーフ
 2WDの1.5L車の一部仕様は、流行のパノラマルーフを装備する。これは、ルーフの大半をガラスで覆い、室内に明るさと開放感をもたらすルーフだ。パノラマルーフガラスはルーフの全幅にわたって、前端がウィンドウシールドと、後端がルーフパネルと滑らかに繋げられ、スムーズなルーフラインとなっている。
 ルーフガラスの面積は1.6平方mと広く、ルーフ面積に対する比率は72%と他車より大きい。ただし、室内側から見た開口寸法は幅が930mm、長さが1080mmであり、開口面積は1平方mである。安全性確保のため、ルーフガラスには厚さ5.8mmの合わせガラスが用いられ、グレーの中間膜を採用して室内温度の上昇を抑制した。
 ガラスルーフはボディに直接接着されない。鋼板製の枠に接着され、枠をボディにボルト締めする構造だ。このため、ルーフガラスは交換可能だ。ちなみに、パノラマルーフ車はノーマルルーフ車より、重心高さが20mm高くなる。

●エンジン
 2WD車には1.5Lの1NZ−FEと1.3Lの2SZ−FEが搭載され、4WD車には1NZ−FEが搭載される。最高出力と最大トルクはそれぞれ、2WD車の1NZ−FEが81kw(110PS)/6000rpmと141Nm(14.4kgm)/4400rpm、2SZ−FEが64kw(87PS)/6000rpmと116Nm(11.8kgm
)/4000rpm、4WD車の1NZ−FEが77kw(105PS)/6000rpmと138Nm(14.1kgm)/4200rpmだ。2WD車と4WD車で1NZ−FEの最高出力と最大トルクが異なるのは、排気管のレイアウトが異なるからだろう。
 エンジンの名称は同じだが、ファンカーゴの1NZ−FEとは異なる。ラクティスの1NZ−FEは、シエンタや現行ヴィッツにも搭載されているローラーロッカーアーム付DOHCだ。ローラーロッカーアームは、カムとバケットリフター間の滑り摩擦を転がり摩擦に変え、摩擦を低減して燃費を向上する。加えて、ピストンとシリンダー間の摩擦を低減するコーティングやポンピングロスを低減する電子制御EGRも採用された。
 2SZ−FEもローラーロッカーアーム付DOHCだ。NZ系エンジンと異なるのは、鋳鉄製シリンダーブロックを採用していることと、吸排気のレイアウトだ。NZ系エンジンは前方吸気・後方排気であるが、SZ系エンジンは前方排気・後方吸気である。 
 2種のエンジンとも、排ガス性能は平成17年基準の75%低減の4つ星レベルであり
、燃費は平成22年度燃費基準を5%上回り、優遇税制を受けられる。

●トランスミッション
 トランスミッションは、2WD車がスーパーCVT-i、4WD車が4ATだ。スーパーCVT-iは、トルクコンバーターとワイドレシオ(変速比は2.4から0.4)のベルト式CVTの組み合わせたもので、エンジンとの統合制御や低速からのロックアップにより、低燃費と動力性能を両立する。また、ニュートラル制御が採用され、停車時には半クラッチとなり、燃費を向上する。このため、クリープはほとんど無い。
 2WDの1.5L車のスーパーCVT-iには、アクティブCVTシステムが採用された
。トヨタ車では初のパドルやシフトレバーで操作する7速シーケンシャルシフトである。パドルはトヨタF1と同様にステアリングホイールと共に回転するタイプで、右側パドルがアップシフト用、左側パドルがダウンシフト用だ。
 アクティブCVTシステムには、CVTスポーツモードもある。インストルメントパネル上のスイッチを押すと変速特性がスポーツモードに切り替わる。CVTスポーツモードではエンジン回転を高めに保ち、動力性能をフルに引き出すことができる。ワインディング路などでスポーティに走行する場合に、便利な無段変速モードである。

●サスペンション
 サスペンション形式は、ヴィッツと共通のフロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式だ。車両重量の増加と重心高の上昇に合わせてバネ定数が変更され、フロントが17kg/mmから20kg/mmへ、リアが23kg/mmから26kg/mmに強化された。これに伴い、フロントのスタビライザーは1ランク下げられた。オフセットの小さい16インチホイールの採用により、前後のトレッドは16インチホイールのヴィッツRSより25mm拡大され、最小回転半径を全車4.9mに抑えている。
 フロントのマクファーソンストラット式では、流行の横力低減バネを採用してストラットに作用する曲げモーメントを低減し、ストローク時の摩擦を低減した。また、スタビライザーをストラットに直接接続し、スタビライザーの効きを向上した。
 リアのトーションビーム式は、ビームにU字型に潰したパイプを用いたのが特徴だ。平板製のU字型ビームより高剛性であり、厚肉のトレーリングアームと共にキャンバー剛性を高めた。U字型ビームの向きは、2WD車が下開き、4WD車が前開きだ。後者はリアのファイナルドライブのスペース確保のため、U字型ビームを前方に移動したためだ。U字型ビームの捩れ中心はU字の背面にあり、前開きにより捩れ中心を後方に配置できる。

●ステアリング
 ステアリングもヴィッツと同じコラム式電動パワーステアリングだが、車両重量の増大に対応してモーターの出力をアップしている。ヴィッツの一部グレードと同じく、このクラスでは採用例が少ないチルト&テレスコピック機構付だ。ステアリングホイールの位置を前後に40mm、上下に30mm調節できる。

●ブレーキ
 16インチホイールに併せて、フロントブレーキは全車15インチサイズのベンチレーテッドディスクを採用した。リアブレーキは、2WDの1.5L車Sパッケージがソリッドディスクで、その他のグレードがドラムである。ドラム径はヴィッツのそれより大径であり、ラクティス専用に開発したものだ。

●まとめ
 ラクティスは以上のように、走りを重視したスペース系コンパクトカーである。21車種もあるライバル車に対抗するため、16インチタイヤを採用して走りを演出し、トヨタ車初のパドルシフトによってドライビングの楽しさを追求した。モーターショーには、ラクティスをベースとしたレース車が出品されるという。タイヤや工具を広い荷室に積み込み、サポートカー無しでサーキットへ行けるレース車という設定だ。

アウトライン開発者よりデザインメカニズム試乗記購入ガイド写真集
updated : 2005.10.3



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