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アウトライン開発者よりデザインメカニズム試乗記購入ガイド

R2

熊野 学
熊野 学
<メカニズム解説>

 スバルR2が31年ぶりに復活した。これまで、富士重工の軽乗用車はプレオだけであり、軽自動車の拡販のためのR2の復活である。現在、乗用車販売台数の30%を軽自動車が占めており、この市場を従来より重視する戦略である。ここでは、ニューR2がどのような軽乗用車か、メカニズムの面から見てみよう。


●パッケージングと車体

 新型車が発表されると、どんなプラットフォームが使われているかが気になる。が、R2のプラットフォームは、全くの新開発だ。R2はプレオと異なって、広さよりスタイリングを優先したモデルであり、新規にプラットフォームを開発する必要があった。
 スタイリングを優先するといっても、4人の大人が窮屈感なく座れる室内空間が求められ、ホイールベースはプレオより50mm長い、2360mmに設定された。また、14インチ又は15インチと軽自動車としては大径のタイヤが採用され、安定感のある外観としている。
新環状力骨構造ボディ
新環状力骨構造ボディ
 新プラットフォームは、高い衝突安全と軽量化の両立を目標に開発された。R2のボディ開発には、スポット溶接も三次元で表現するCAE(コンピューター・エイデッド・エンジニアリング)が積極的に使われ、ボディの開発が効率的に進められた。様々な衝突形態をコンピューターでシュミレーションしてボディの変形や乗員の衝撃を調べ、ボディ構造の最適化を繰り返すのだ。
 これにより、スタイリングに最適なボディ構造を決め、試作車で現実の衝突実験を行って、シュミレーション結果と照合する。このような開発手法によって、試作車の数を増やすことなく、高い衝突安全性とプレオ比で30kgの軽量化を両立した。
 その具体的手法は、高張力鋼板の使用、ボディ骨格の大断面化とストレート化などであり、基本的には他車と同じだ。が、R2独自のものもある。例えば、フロントサイドフレームとヒンジピラーを繋ぐボルトオンのガゼットだ。このガゼットは、フロントサイドフレームが受けた衝撃を効果的にヒンジピラーに伝え、トウボードの変形を抑える。ちなみに、このトーボードは室内長を延長するために、曲面形状となっている。
 もう一つのR2独自のボディ構造は、フロントサイドフレーム先端のクラッシュボックスだ。これは軽衝突時に衝撃を吸収し、それより後ろのボディ変形を防止して修理費を低減する。クラッシュボックスとサイドフレームを接合するスポット溶接部をドリルで揉むことで、容易に取り外すことができる。


●エンジンとトランスミッションと4WDシステム

 R2に搭載される3種のエンジンは全て4気筒であり、グレード別の設定された。「i」には自然吸気SOHCエンジンが、「R」には自然吸気DOHC16バルブエンジンが、「S」にはスーパーチャージャー付きのDOHC16バルブエンジンが搭載される。
 トランスミッションは5速MTとi-CVTであり、「S」には7速スポーツシフト付きi-CVTのみとなる。駆動方式は、全てのグレードに2WDと4WDが設定された。
DOHC16バルブ AVCS
DOHC16バルブ AVCS
 3種のエンジンの中で、自然吸気DOHC16バルブはプレオのSOHCマイルドチャージエンジンに代わる新開発のエンジンである。このエンジンは、低燃費化と三ツ星レベルの排ガス性能を両立するために開発された。スーパーチャージャーの除去、吸気マニフォールドの樹脂化、シリンダーブロックの薄肉化などにより、19kgも軽い。
 自然吸気DOHC16バルブに採用された新技術は、ローラーロッカーアーム、可変バルブタイミング機構、電子制御スロットルなどだ。ローラーロッカーアームはカムとの摩擦を低減し、可変バルブタイミング機構はトルクを向上し、電子制御スロットルは後述のi-CVTの協調制御に使われた。
 R2では、エンジンの搭載角度も11.75度から5.8度に変更された。これは、エンジンルームを短くして、室内長を長くするためだ。先に述べた、トーボードとヒンジピラーを繋ぐガゼットもエンジンルームを短くするための対策だ。
i−CVT
i−CVT
 i−CVTでは、2種類の制御が新たに採用された。「R」に採用されたスムーススロットル制御は、電子制御スロットルと協調して変速比を制御する制御だ。全グレードに採用されたアクセルモニタリング制御は、アクセル操作を常にモニターして変速スピードを最適化する。また、「R」のECOモードでは燃費を優先した変速制御を行う。
 4WDシステムは、従来通りのビスカスカップリング式のオンディマンド4WDだ。プレオに対する変更点は、デフ及びカップリングのハウジングをアルミ化したことで、ここでも軽量化している。カップリングのハウジングは耐圧性が必要であるが、負荷の軽い軽自動車では問題ないらしい。


●サスペンションとブレーキ

フロントサスペンション リアサスペンション
フロントサスペンション リアサスペンション
 サスペンションはプレオと同形式の4輪ストラット式独立懸架であり、リアサスペンションは2WDと4WDで共通だ。富士重工は4WDの販売比が他のメーカーより高く、リアサスペンションを2WDと4WDで共用することにコストメリットがあるらしい。
 前後のサスペンションは、プレオと同形式ながら剛性の向上などを実施し、性能を高めた。フロントサスペンションでは、クロスメンバーを大型化してピボット剛性を高め、キャスター角を僅かに増大した。リアサスペンションでは、横リンクを延長し、トレーリングリンクのバネ下側ピボット位置を下げている。
 リアの横リンク延長はトレッド変化を低減するのでリアの安定性が向上し、トレーリングリンクのバネ下側ピボット位置の低下は大径タイヤの利点を利用したもので、制動時のリアリフトを抑え、突起乗り上げ時のハーシュネスも低減する。
 ブレーキは全グレードで、13インチサイズのフロントベンチレーテッドディスクとリアドラムブレーキの組合わせだ。タイヤサイズは14インチ又は15インチであるから、ホイールサイズに対してディスク径は小さい。が、R2はプレオに対して車両全体で90kgも軽く、ブレーキ性能はこれで十分なのだ。
 なお、ABSEBDは「R」と「S」で標準装備、「i」でオプション。ブレーキアシストはABS装着車に標準装備となる。
 以上のように、復活したR2はスタイリングと軽量化を重視した新型軽自動車である。航空機をイメージしたフロントマスクを、ユーザーがどのように受け止めるか興味深い。

アウトライン開発者よりデザインメカニズム試乗記購入ガイド
updated : 2003.12.9



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