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Inpression

マンタイ M700
(MANTHEY M700)
筆者:津々見友彦

スペック
駆動方式 4WD
エンジン 水冷フラット6 3.6L
最高出力 695PS/6,300rpm
最大トルク 800Nm/5,340rpm
装備
カーポンケブラーフロントフード
カーポンリッブスポイラ
カーポンリアリッド/ウィング
カーボンレーシングミラー
カーボンエアインテーク
MM2マグネシウムホイール
M700専用ブレーキシステム
リミテッドスリップデフ
クロスレシオギアボックス
ショートシフト
アクセルペダル
軽量サイド、リアウィンドウ
ユニボールサスペンションアーム
M700専用ダーポチヤージャー
M700専用インタークーラー
M700専用クーリングシステム
ロードからサーキットまで
 ポルシェをベースに更なるパーフォマンスを与えるスーパー・スポーツとしては“RUF”が有名だが、新しく“MANTHEY”(マンタイ)がマンタイファーイーストから日本へも導入される。
 Manthey Motorsは1974年以来、世界でもっとも苛酷なテストコースとして評価の高い“ニュルブルックリンク”を中心にモータースポーツ活動をし、優勝経験豊富なManthey Racingがそのレーシングマシン造りのノウハウをロードゴーイングカーに移植したもの。
 ポルシェをオーナーの要望に合せ一台ずつ文字通りチューンナップするのだ。
 御大マンタイ氏自身もニュルマイスターとして数年前まで現役ドライバーとしてニュルブルックリンク24時間レースで活躍、今回のニュルの試乗会でも目を見張るような職人芸のドライビングを披露してマンタイユーザーを喜ばせていた。

ニュル走行会で説明するマンタイ氏(右)
 マンタイモータースでは、エンジンのチューニングはもとより、サスのチューニング、空力エクステリアなど、パーツ単体としても販売しているが、今回試乗が許されたのはアジアエリアの総代理店である“マンタイファーイースト”がアレンジした最新、最強のコンプリートカー、“M700”である。
 このクルマはロードゴーイングカーでありながら、サーキット走行も可能なスーパー・スポーツである。
 ベースは4WDの996ターボだ。これにエンジンはドイツ流の吸、排気系のチューニング。それにターボのタービンなどのチューン。そして、クランクシャフト、コンロッドなどはGT2の強化パーツを与えた強力なもの。なんとフラット6、3.6リッターが絞り出すその出力は“695PS/6,300rpm,800Nm(81.6kgm)/5340rpm”と言う途方もないもの!4WDでしかこの超強力なパワーを消化出来まい。

GT2仕様を独自にモディファィ
 エクステリアは一見するとGT2仕様のノーマルに近いが、車高は低く、フロントノーズ下に更にチンスポイラーが与えられ、ラジエターのエアーアウトレットはカーボン。オイルクーラーなどのインテークのネットはない。 また、フロントフード、リヤフードもドライカーボンで軽量化。リヤ左右のエアーインテークもカーボンで縁取られ、高速での流量を高めエンジン回りの冷却を高める。GT2仕様のウイングサイズは変らないが30o高められダウンフォースを増している。
 サスはスプリングは強化、アブソーバーは伸び縮みアジャスタブルタイプとされている。 そして、デザインがお洒落なホイルは鍛造マグネシューム製。これに特殊な表面加工を施したBBS製。アルミホイルと同程度の耐久性を持つと言う特製品だ。ちなみにフロントタイヤはダンロップ、SPスポーツレース、235/40ZR18、リヤは285/30ZR18を履く。
 コクピットにはボルトオンロールケージで固められているのがやはりスパルタンな雰囲気を見せるが、それ以外は僅かにフロアーマットにMANTHEYマークを発見するのみ。性能向上に無関係な装飾は一切ない。
 走りへの情熱を貫くマイスター、マンタイ氏の誠実さが感じられる。見せかけの演出はない。その代わり6速MTのシフターはショートストロークタイプに改造されている。

意外に良い乗り心地
 スターターを回すとフラット6は心地よく目覚めた。ほのかにエキゾーストサウンドも心地よく響く。
 一般道路の軽い試乗に走り出すと、乗り心地は程よく、ガチ、ガチのスパルタンさはみじんもない。もっとも、ノーマルな911に比較するとやはり固めに感じるのは否めない。特に路面によってはコツ、コツと突き上げがなくはないが、ただ、一般道路の試乗で不快に感じたのはごく一部。路面の余程悪い箇所ではやや辛いが、殆どの路面で我慢するほど辛くはなかった。

強烈!が不安のない走行パーフォマンス
 一般道路ではなかなかオーバー695PSものパーフォマンスは試せないし、その必要なもい。軽くスロットルを開くだけで、殆どの場合軽々と加速する。
 だが、試したいのも人情。空いた直線路を見付けてフルスロットルにするや、タコメーターが4,000rpmを超えたあたりから、急速にトルクが襲う。フロントノーズがグーッと持ち上がり、すーっ と頭から血の気が引くような感覚の強烈な加速なのだ。0-400加速は恐らく13秒台の雰囲気。しかも、レッドゾーンの6600rpmまで引っ張ってもトルクのタレ感はなく、どこまでもグン、グン伸びる雰囲気なのだ。まるで底なし沼のように恐ろしいばかりのパワーの大魔殿に引き込まれる恐怖感と痺れるような快感その入り交じった感覚でハイな気分に浮遊する。
 それでいて不安感が全くないのは、ナチュラルなターボトルクの立上がりだ。マキシマムトルクを高回転域に設定した賢明なトルク特性のためと、しっかりと路面を把握するワイドタイヤと4WDの偉力でスタビリティは抜群にいい。軽いウェット路面ながら、テイルの横滑りもなく、安全に695PSを楽しめたのだ。

軽々と250km/h。300km/hも現実
 アウトバーンの走りはさすがに良い。安全にしかも速い!
 スロットルを4速で踏み切るとアッと言う間に200q/hに達し、シフトアップで踏ん張ると簡単に250km/hに達する。
 私の最高速はそれだけだが、同行したフェラーリオーナーのベテランT氏は300km/hの最高速をマーク。その時も空力デバイスのおかげでピタリと安定して走れたと、興奮してレポートしてくれた。カタログデータでは最高速は346km/hとされているだけに、300km/hをマークするのは簡単なことだったのだろう。

しなかや、ナチュラルなハンドリング
 試乗会当日は、マンタイのユーザーを集めたニュルブルックリンクの走行会。遠くはイギリスからもエンスなユーザーが押しかけてくる。約50台程のマンタイマシンが走るのだ。 私の最大の驚きはこのニュルの旧コースをトライした時だった。3年前に走ったとは言え、久しぶりのニュルはやはり、甘くはない。だから、謙虚に走らせて貰うしかないのだ。
 が、ニュルを走り、はじめて、M700の真価が判った!
 コースに乗り入れるとなんとドライバーに優しいことか!
 しっとりと包み込んでくれるシャシーはドライバーに少しもストレスを感じさせない。 路面からのストレスがなく、心地よくコーナーを通過してくれる。荒れた路面もスムーズにこなし、姿勢の乱れがないので、すこぶる安心感が高いのだ。
 軽く縁石に左タイヤを乗せても、何ごともないようにまるで舐めるようにスムーズに通過してくれ、狙いのラインをそのままトレース出来る。

 後方から慣れたマンタイ使いが迫る。ラインを開けるとすかさず猟犬のよう数台が競って追越して行く。慣れないコーナーは無理せず、大人しく通過し安全なストレートだけスロットルを開くと、今抜かれた他の恐らくNAだろう、マンタイ達にアッと言うまに肉迫できる。コーナーは遅くても、785PSにものを言わせて追従できるこのパーフォマンスは安全性が高く慣れないサーキットでも楽しめる。

BBSの鍛造マグホイル
特殊仕上げでアルミ並みの耐久性を持つと言う
ガッシリと強力なブレーキ
 M700にはフロントに大型の6ピストン、リヤには4ピストンのキャリパーが与えられ、200q/hの高速からもガッシリと急速に減速できる実力の持ち主で、ニュルを攻めてもビクともしない安定性を持っていた。

ナチュラルなコーナリング
 重過ぎず、ナチュラルな重さのパワステは忙しいニュルのワインディングでもスムーズに操作でき、これにも感謝だが、落ち着いた応答を見せるサスセッティングもさすがだ。 過敏な応答ではなく、高速での操作も安心感が高い。が、もっともニュルで有り難いのはコーナーがタイトになった時、グッと切り込むとフロントタイヤは流れ出さずにしっかりとグリップし、狙いのラインをスムーズにトレースしてくれることだ。無謀なコーナー進入速度でない限り、必ず狙いどおりにラインを描け、トレース出来るのはさすがだ。

まとめ
 久しぶりのニュルの旧コースながら、ピックアップ抜群の動力性能に加え、スムーズにコーナリングする癖のないハンドリングと強力なブレーキングのおかげで安全高速サーキットを攻めることができた。
 ロードゴーイングカーとして日常的にも気軽に使え、それでいてサーキットでのスポーティーな走りでも耐えられる幅広いパーフォマンスをもつしなやかなコンプリートカーである。
(左のマンタイエンブレムは軽量な薄いディカール(ステッカー)だ。走りの性能に不要な重量は1gたりとも与えない。走りの性能にこだわるマンタイの純粋な哲学を感じさせる)

マンタイファーイースト http://www.mantheymotors-fareast.com/
Manthey Motors http://www.manthey-motors.de/
Manthey Racing http://www.manthey-racing.de/


Update:2005/7/18


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