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Inpression

エクリプス スパイダー
(ECLIPSE SPYDER)
筆者:斉藤武浩

エクリプススパイダー
独断評価
エクステリア ★ ★ ★ ★ ★
インテリア ★ ★ ★ ★ ★
動力性能 ★ ★ ★ ★ ★
ミッション ★ ★ ★ ★ ★
静粛性 ★ ★ ★ ★ ★
取りまわし性 ★ ★ ★ ★ ★
乗り心地 ★ ★ ★ ★ ★
使い勝手 ★ ★ ★ ★ ★
ユーティリティ ★ ★ ★ ★ ★
コストパフォーマンス ★ ★ ★ ★ ★
総合評価 ★ ★ ★ ★ ★
 エクリプスは北米で生産され日本に輸入されるモデル。初代デビュー以来3代目になるが、その歴代モデル全てが日本でも発売されており、アメリカ育ちらしい独自性で個性派ユーザーから注目を集め続けている。
 今回ご紹介する3代目にあたるモデルは、左ハンドル仕様のままで2004年秋に日本の道に姿を見せた。
 今では三菱ラインナップ中で唯一のスペシャリティモデルという位置づけになったエクリプススパイダー、アメリカ生まれのオープンカーライフを体験してみよう。
 
<エクステリア>
サイドビュー リアビュー スッキリした表情、個性的な後ろ姿
 北米生まれらしくボディサイズの余裕を活かした、伸びやかかつワイドなデザイン。フロントフェイスは比較的大人しいクールな表情を見せるが、後ろ姿はクリアテールレンズに各ランプを配した個性的なもの。
 この後ろ姿、追い越されたドライバーには鮮烈な印象を残すとともに、『あれってどこのクルマ?』と思わせるに違いない。
 なお、アメリカ本国では既に4代目エクリプスのデザインが発表されているが、そちらはとてもマッチョな感じで筋肉質なものになっている。
 
<インテリア>
ダッシュパネル メーター やや"華"が足りない印象も…
 インテリアはブラック一色。日本向けには3色のエクステリアカラーが用意されるが、どれを選んでもインテリアカラーはブラックのみとなる。ちなみに北米では11色のエクステリアカラーがラインナップされており、一部にはサンドベージュのインテリアカラーも設定されている。つまり日本にはブラックのインテリアと組み合わされるエクステリアカラーのみが輸入されているということだ。
 今回のテストカーのエクステリアはディープレッドマイカ。他の2色が黒とシルバーなので、ラインナップ中では最も華やかな色合いだけに、インテリアも明るいカラーであったほうがオープンモデルらしい"華やかさ"を楽しめそうな思いが募った。

--ゆったりした4シーターの室内--
インテリア ゆとりあるクルージング空間
 シートはコンビネーションレザー仕様。ドライバーズシートにはパワーシートが奢られ、前後スライドと上下リフター機能がパワー化されている。リクライニング機能については、リアシートへのアクセスを迅速に行えるメリットゆえに手動操作となっている。
 さすがにボディサイズにゆとりがあるだけにフロント2名乗車では狭さは全く感じない。ルーフを閉じた状態でも、身長184センチ胴長体型の筆者ですらヘッドクリアランスに狭苦しさは感じなかった。
 やや腕を伸ばし気味のポジションをとって、ハイウェイをクルージングするために心地よい空間であると評価出来る。
 つぎに4シーターなので、気になるリアシートの居住性にも触れておこう。テストドライブ中に3人乗車、4人フル乗車ともに経験したが、ナビシートを少し前に出せばドライバーを含む大人3人が小一時間程度はドライブ出来る空間を有する。さすがに4人乗車となると狭苦しさを感じざるを得ないものの、いざというとき合法的に4人乗れることは結構ポイントが高い。

--ラゲッジスペース--
トランクスペース 深さのあるラゲッジスペース
 なかなか侮れないのがエクリプススパイダーのラゲッジスペース。
 オープンカーということであまり期待出来ないかと思いきや、さにあらず。ボリュームがあるのでやや高い位置ではあるが一応バンパーレベルから開くトランクリッドはキャリーバッグを積み込むときなど女性にも優しい。
 スペースそのものは奥行きこそ短めだが、なかなかタップリとした深さと横幅を確保。実際、今回のテストドライブでも2人の3日分の出張荷物、さらにカメラケースなどを呑み込んでくれた。つまり、小旅行のレベルでなく、2〜3泊のロングバケーションでも2人で行くために必要な荷物を充分に積み込める実力を持っているということだ。
 
<動力性能>
エンジンルーム V6・3000cc
 エンジンはアメリカでは2400ccの4気筒もラインナップされているが、日本仕様は上級仕様のV6・3000ccのみを設定。SOHCながら24バルブ、最高出力は144kW(196ps)/5750rpm、最大トルク267N・m(27.2kg・m)/4250rpmというスペック。
 現代のレベルで見ればスペック的には特段パワフルでもないのだが、乗ってみるとなかなかの扱いやすさを感じられる。
 まずエンジンをかけた段階で予想外に低音の迫力あるエキゾーストサウンドが耳に届く。まさにこれぞ「アメリカン!」とでも言わんばかりに。オープンカーにとってエキゾーストサウンドも大切な演出のひとつだけに、これはちょっと嬉しい。
 走り出すと1520kgの車両重量を感じさせないパワフル、というかトルクフルな走りを披露。スタートダッシュでタコメーターの針を一気に撥ね上げるような走りではなく、あくまでもゆったりとハイウェイクルージングを決め込みたくなるキャラクターと言えるだろう。
 ややハイペースなクルージングも体験したが、市街地からハイウェイまで全域において不満のないパフォーマンスを見せてくれた。
 
<乗り心地・静粛性>
 乗り心地はソフトな印象。全体的にゆったりとした、いわゆる"アメリカン・フィーリング"。
 オープンカーとしての静粛性は高いレベルにある。ソフトトップそのもののクオリティも高く、クローズ時の遮音性は高い。さすがにメタルトップには及ばないものの、そこはLサイズの上級オープンモデルらしいクオリティで造り込まれている。
 オープン時の走行で気になるのが風の巻き込み。前後左右4枚のウィンドゥを上げれば、不快な風の巻き込みは抑えられる。ただし徹底的に抑え込んでいるわけではなく、ある程度のキャビンへの風の侵入は許容しているようだ。考えてみればせっかくのオープンドライブで風を感じられないのも寂しいところ。ヒーターもしっかり効くので、四季を問わず風を感じるオープンカーライフを楽しめるだろう。
 
<取りまわし性>
アメリカンフィーリングはここにも…
 改めて確認しておくと、エクリプススパイダーの全長は4515mm、全幅は1760mm。ボディサイズとしては昨今の状況では極端に大きなものではないが、最小回転半径はなんと6.1m!この数値、一例としてキャディラックと比較すると、FRのSTS(5.9m)より大きく、FFのラージリムジンであるドゥビル(6.3m)との中間に値する。
 こう記すと街中での取りまわし性能が気になるところ。実際にはボディサイズがキャディラックほど大きくないのでそんなに気にならないが、狭い駐車場に入れる時などは切り返しの回数が1回増えることもあるかもしれない。
 ドライバーズシートからの視界はアイポイントの低いクーペらしいもの。ややフロントノーズの見切りが辛い部分もあるが、ボディサイズの感覚は掴みやすいデザインと感じられた。
 
<ミッション>
4速AT やっぱり欲しい、もう1速
 三菱お得意のスポーツモード付きINVECS-IIオートマチックとの組み合わせのみ。
 残念なのは4速仕様であること。やはり5速仕様と比較すると巡航時の回転数も高めになってしまう4速では、燃費も悪化してしまうし、騒音の面でもハンディを負ってしまう。
 事実、約300kmのハイウェイクルージングで燃費はカタログの10・15モードと全く同じ9.2km/Liter。筆者自身の車である三菱ディアマンテは5速オートマチックなのだが、同じ3000ccということで参考比較すると、同じルートの走行で約13km/Liter。ガソリンが高騰している昨今、この違いは決して小さくない。
 なお、スポーツモードの操作性そのものは良好。コーナーリング時に右手のスナップでシフトダウン操作を行い、軽やかに駆け抜けることができる。
 ちなみに既に北米で発表されている4代目エクリプスには、5速オートマチックが3800ccのV6エンジンとともに設定されるとアナウンスされている。
 
<操縦性>
--ドライバビリティ--
 フィーリングは良い意味で"緩い"。本家のアメリカ車を含めてアシを硬めたコーナーリングマシンが世界的に増殖するなか、このなんとも言えない"緩さ"はかえって心地よく感じられる。
 "緩い"と言っても、決して不安を伴うようなドライビングフィールではない。ただ、ハイペースでワインディングを駆け抜けるというよりは、例えば3車線の高速道路の第2車線をゆったりクルージングしたくなるフィーリングなのだ。
<電動オープントップ>
ルーフロックレバー ルーフ開閉スイッチ  ソフトトップは電動で開閉出来る。その手順は至って簡単で、開ける場合はまず左右のサンバイザーを下ろす。
 そしてAピラー上部の左右に2ヶ所あるラッチハンドルを操作して開放、あとはセンターコンソール前方のスイッチを押して約30秒待てばOK。閉める時は基本的に逆の手順となる。
 ソフトトップの収納はコンパクトに完結し、オープン走行時にルームミラーの視界を必要以上に遮るようなことはない。ソフトトップに備わるリアウィンドゥは熱線入りのガラスなので雨中の後方視界もクリア、安心してドライブ出来る。
<特に気になる装備>
クルーズコントロール
クルーズコントロール
ステアリング右に備わるレバー一本で操作可能。
40km/h〜100km/hの速度域において、好みの巡航速度でセットすれば右足を開放したクルージングが可能。
先にも記したように長距離ハイウェイクルージングをゆったりと楽しみたくなるキャラクターであるだけに、他の車種よりもクルーズコントロールを使いたくなる機会が多いかもしれない。
ランプ付バニティミラー
バニティミラー
ドライバーズ&ナビシートの両方に装備。
開閉式のフタ付きで、ライトのオン/オフに関係なくライトが点灯する。
しかし、実際に使った女性の意見としては、ライトの光量が強くピンスポット的に照射するので眩しいとのことだ。
 
ちなみに室内照明はルームミラーに2つのライトが別途組み込まれており、スポットライト兼ルームランプとして作用する。
リアビュー(ルーフクローズ時)<気に入った点>
 筆者の独断ではあるが、スタイリングにはルーフオープン/クローズの両方において好感を持った。
 また、"緩め"のフィーリングも味わいがあって良い。

<気になる点>
良くも悪くも左ハンドルである点。ちょっと暗めのヘッドライト。華やかさに欠けるインテリア。

<まとめ>
 オープンカーは風や光、自然の匂いを感じられる。日常のストレスを忘れ去るドライブを楽しむためには最適だ。そうなると目を血走らせてワインディングを攻めるよりも、のびのびとクルージングを楽しめるフィーリングのエクリプススパイダーはライフスタイルに豊かさをもたらしてくれるだろう。
 また、希少性の高さは、他人とは異なる個性を発揮したい人にもお勧め出来る理由になる。全国にディーラー網が展開されている点で輸入車につきまとうメンテナンスへの不安も解消されるだけに、輸入車ビギナーにもチェックしてほしいところだ。
 しかも価格も315万円と割安。他を探してみても、なかなかこの予算で4シーターのオープンモデルを手に入れることは出来ないだけに、乗り心地やコンセプトに同調出来れば一考の価値がおおいにある一台だ。

車種 全長 全幅 全高 ホイルベース トレッド 前 トレッド 後 乗車定員 駆動方式
SPYDER 4,515 1,760 1,355 2,560 1510 1510 4 FF
エンジン
容積(cc)
KW(PS) 最大馬力
回転数
Torque
Nm(kgm)
最大トルク
回転数
最少回転半径(m) 10・15モード
燃費(km/l)
2,972 144(196) 5,750 267(27.2) 4,250 6.1 9.2
車重 W/P W/T C/P C/T P/L C/L 税込価格
1,520 7.75 55.9 16.0 115.8 66 1060 315.0万円
*価格は全て千円単位
*W/P
パワーウェイトレシオ 1PSあたりの車重(kg/ps)
*W/T
トルク・ウェイト・レシオ 1kgmあたりの車重(kg/kgm)
*C/P
コストパワーレシオ 1PSあたりの価格
*C/T
コストトルクレシオ 1kgmあたりの価格
*P/L
排気量、1リッターあたりの馬力
*C/L
排気量、1リッターあたりの価格。エンジンサイズに対する大凡の標準価格が推察できる。ただし、装備やグレードは無視。
●今回の試乗車のみのデータ
●価格はオプションを除いた値段


Update:2005/5/8


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