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コルト(COLT)

菰田 潔
筆者:菰田 潔
<試乗記>

●安全性の高い軽いドアハンドル

 ちょっと軽めのアウタードアハンドルを引いてドアを開け室内に乗り込んでみよう。
 最近ドアハンドル自体が軽い感じのクルマが増えたが、コルトもそのひとつだ。これは側面衝突時に、ドアハンドルが重いとその自重が慣性力(ボディは飛ばされるがドアハンドルはその場に残ろうとする)になって、ドアが開いてしまう可能性が高くなってしまうからだ。だから質感や操作感を犠牲にしても、できるだけハンドル自体は軽く造るようになっている。


●サポート性の良いシート

フロントシート リアシート
 シート表面はクッション部分がソフトな層が厚く、最初はフワッとした感触。でもソファーのように沈み込むことなく、お尻を深く掛けたときの腰のホールド感は良い。
 シート横にあるレバーを上下に動かすと高さが変わるポンプ式のハイトコントロールは、バックレストとクッションが一体になって動くタイプだから、しっかりしたホールド感は高さが変わっても変わらない。
 シートスライド、リクライニング、上下に動くチルトハンドルと合わせてドライビングポジションの自由度は広い。ちなみにチルトハンドルを日本で始めて採用したのは三菱自動車だ。より多くのドライバーにジャストフィットさせるには、テレスコピックも欲しいがこのクラスでは難しいのか。
 座高の高いボクがポジションをちょっと高めに合わせてもヘッドクリアランスはたっぷりしている。そしてウインドシールドからの景色も自然でいい。
 Aピラーとウインドウの間に三角の窓がある。これは交差点などでの視界の確保ができ、安全性は高く都合がよい。
リヤシートはヒップポイントが高い。フロントより高くなるのは視界も開けて都合が良いが、腰のホールド感に乏しく、フロントシートほど落ち着きはない。


●スッキリとしたインストルメントパネル

ダッシュボード メーター インストルメントパネル
 Aピラーが前進しているミニバン風スタイルのわりには、ダッシュボード上面がだだっ広い感じにはなっていないのが良い。センターコンソールの境界線を上まで伸ばしたり、室内のラウンド感を出すためのデザインがアクセントになったりしているからだろう。
 インストルメントパネルは、すっきりしたデザインで見やすい。中央に大き目のスピードメーターがあり、その左に位置するタコメーター(OP)は6300rpmからレッドゾーンが始まる。右側には水温計と燃料計、そしてシフトインジケーターがレイアウトされている。
 エアコン調整用のレバースイッチは、操作感がやや軽めではあるが、風の吹き出し口はその機能、操作感とも質感が高く良い。


●1.3リッターでも充分なエンジン

エンジン  走ったあとのボクの印象は、1343ccと1468ccの2種類のエンジンを用意する必要はなかった気がした。
 大人数が乗り込んで荷物もたくさん積んで走るのでなければ1.3リッターで充分だからだ。
 確かに停止から発進するときなど、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間の出だしは1.5リッターの方が鋭いが、逆に1.3リッターの穏やかな発進の方がボクは好きだ。
 走り出してからの加速も1.5リッターのトルクの盛り上がり感はなかなか良いが、1.3リッターでかったるく感じることはなかった。ボクがコルトを買うなら1.3リッターエンジンを選ぶだろう。


●エンジン性能を引き出すCVT

スマートシフト  コルトが1.3リッターエンジンで充分と感じさせることに貢献したのは、CVTによる無断変速のトランスミッションだ。アクセルペダルの踏み込み量に従って、エンジンのトルク特性の美味しいところを使えるようにレシオを変えてくれるからだ。あらゆるスピードで最適なレシオにできるのはCVTだからである。
 コラムから生えたATのセレクターは、P、R、N、D、Ds、Lというシフトパターンになっている。
 Dレンジで走っていると、アクセルペダルを戻すとエンジン回転が下がり燃費の節約をしてくれ、ペダルを踏み込み加速が必要なときには回転が上がってトルクを引き出す。
 それほどアクセルペダルを深く踏み込まない通常走行なら、せいぜい4000rpmくらいまでしか使わず、クルマのスピードに比例してエンジン回転も上がり、音とスピード感が一致している。
 しかし頻繁なアクセルオン・オフをするようなスポーティドライビングの場合には、エンジン回転が1200rpmと5000rpmを行き来してちょっとわずらわしいから、Dsを選ぶと良いだろう。50Km/hでも2500rpmをキープしているから、アクセルで即座にトルクを発揮することができる。
 もっとブイブイいわせたいのなら、Lレンジがある。30Km/hでも3000rpmをキープする。
CVTのおもしろいところは、DsレンジやLレンジのままでも最高速まで出せることだ。アクセルペダルを踏み込むとタコメーターは6000rpmをキープしながら、スピードメーターの針だけ上昇していく。


●コントロール性の高いブレーキ

 ブレーキの効き味と踏んだときのフィールが良い。
 ブレーキペダルに足を乗せ、遊びを過ぎてブレーキが効く位置が高めだからレスポンスが早く、踏み応えもしっかりしている。
 踏み込んだときの剛性感があり、ブレーキング中に制動力を変化させようとした場合にも、そのコントロールが容易にできる。


●スポーティーなハンドリング

コルト  気持ちよく走ることに主眼を置いてサスペンション・セッティングされたことが走り始めた瞬間に判る。市街地走行、高速走行だけでなく、ワインディングロードをスポーティに走ることも得意としている。1.5リッターも1.3リッターもバネレートは同じだ。だからエンジンによるセッティングの差はない。
 ただし185/55R15 81Vより、175/65R14 82Sのタイヤの方が素直で良かった。15インチはグリップ指向のためか、ハンドル応答に遅れを感じるからだ。ハンドルを切っていくと、ゆっくりノーズが向きを変えたかと思うと、後からクィッと鋭く向きを変えるのだ。ハンドルの角度とノーズの動き(ヨー)がもう少し合っている方が運転し易いはずだ。
 その点で14インチは問題ない。シャープさも充分だし、応答遅れは感じないスムーズさがある。グリップに関しても余裕がある。軽いコルトのボディは、コーナリングでも充分にしっかり感がある。限界も低くなく、ある程度のスポーティな走行もできるレベルだ。ブレーキの効きも良い。
 サスペンションのセッティングは、明確に走りに振ってある感じだ。だからハードに攻めればそれなりにロール角も大きくなっては来るが、基本的にはロールしにくく、ブレーキングも含めて姿勢変化は小さい。だから14インチタイヤでも、結構いい走りができる。
 いつもコーナーをハイスピードでがんがん攻めて走るなら15インチにもメリットがあるが、通常走行で走る範囲ならグリップも充分で応答がスムーズな14インチが無難な選択だ。
 もし15インチを選ぶなら、ラリーアートブランドのスポーツサスペンションキットをお奨めする。ハーシュネスなどの乗り心地は悪化せずに応答性がスムーズになるからだ。車高が15mmダウンして、外観もカッコ良くなる。

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●ちょっと硬めな乗り心地

 走りに振った硬めのサスペンション・セッティングのためか、乗り心地はちょっと硬めである。路面の不整によるタイヤの振動がボディまで伝わってゴトゴトと音がする。この音がなければそう悪い印象にはならなかったと思う。タイヤから伝わる振動により、身体が揺すられる感じではないからだ。


●気に入った点

 気に入ったのは走りに振ったサスペンション・セッティングで、気持ちのいいドライブができることだ。


●気になる点

 気になるのは、電動パワステによる操舵力の軽さだ。正しくハンドルを持って、正確に操舵できるドライバーなら問題ない。軽くて楽な分がメリットになる。ただしいつもいい加減な操作をしていると、ハンドルが軽い分だけ動き過ぎてフラツキ気味になる可能性がある。


●まとめ

 走りにこだわって創られたコルトは、外から見るイメージ通りの軽快なドライビングが楽しめる。これはスポーティドライビングだけでなく、買い物に行くときにも運転のし易さとしてメリットがある。
 21世紀のコルトは、免許を取り立てのビギナーから、飛ばし屋の若者、ウイークデイは奥さまが乗り週末はファミリーでドライブという使い方、子供が独立したので大きいクルマは卒業したという熟年層まで幅広く受け入れられるだろう。

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updated : 2002.11.18



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